肩と腰のメカニズム コラム

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姿勢の善し悪しは、靴底でチェック

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肩こり・腰痛は、姿勢や歩き方が正しくないことも原因の一つ。しかし、自分の姿勢や歩き方はなかなか自覚しにくいものです。
普段履いている靴の底をじっくりと観察してみてましょう。極端に減っているところがあったり、左右の減り方が違っていたりしてませんか?

これらは、骨盤や脊柱のバランスが悪かったり、歩く時の重心移動がずれていたりなど、姿勢や歩き方が不自然な証拠です。また、すり減って傾いたままの靴を履き続けていると、さらに腰やヒザを痛めやすくなり、悪循環に陥ってしまいます。正しい歩き方を身につけると同時に、マメに靴底を取り替えることも大切です。

寝返りの効用

どんなに寝相のいい人でも一晩に二十回以上寝返りをしています。同じ体勢でいると血液やリンパ液の循環が悪くなったり、体温が上昇したりするので、これらの調節のために体の向きを自然に変えているのです。

さらに、寝返りは骨や筋肉にとっても大切な動作です。起きている間は、重い頭を支えるために背骨や関節、筋肉に大きな圧力や負担がかかっています。体を横にして重力が軽くなった状態で、それらをリセットする。寝返りには、日中に生じた体の滞りを調整する役割があるのです。

楽に寝返りするには、正しい寝具選びが大切。やわらかすぎれば腰が沈んでしまいます。また、寝具は固ければ固い方がよいと信じている人も多いようですが、それも間違い。固すぎると背骨が逆に反ってしまします。やわらかすぎず、固すぎず、自由にゴロゴロと寝返りのできる寝具が理想的です。

オフィスに出没するマウス症候群

パソコンを頻繁に使用する方に「マウス症候群」が広がっています。これは、パソコンの備品であるマウスが引き起こす肩こり・手のしびれです。

マウスを長時間使用していると、右手を常に前に出した姿勢がつづいてしまいます。一緒に右肩も前に出た状態になり、体にとって不自然な姿勢が続くことで、肩や手首に負担がかかり、血行不良や末梢神経の障害が起きやすくなります。パソコンを長時間使用して、右手・右肩にしびれ・痛み・違和感を感じる時は要注意です。

そんな時には、休憩と軽いストレッチ体操が効果的。デスクワークの時には無理にでも休憩時間を作り、ストレッチ体操に取組みましょう。本サイトでも肩こり体操を紹介しています。

パソコンを使用する際には、自分の姿勢を見直してみましょう。とくに、マウスを使いながら左肩に電話を挟む姿勢は肩への負担が大きいので、電話は手にとって話をするようにしましょう。

腰痛防止に役立つ「つちふまず」

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足の裏にある「つちふまず」は、人間しか持っていないものです。直立して二本足で歩き出した人間は、二歩足での歩行を、より機能的にするための筋肉構造として「つちふまず」を形成したのです。

二本足歩行は、四本足での歩行よりも一つの足にかかる衝撃は大きくなります。そのため、腰などへのダメージも大きくなります。二本足の人間に腰痛が多いのも、二本足歩行での衝撃が理由の一つになっています。

「つちふまず」は、足の骨が組み合わさっていて、アーチ状の構造になっています。そのアーチ部分が、二本足歩行での衝撃を吸収し、腰にかかる負担も軽くしています。
「つちふまず」は腰痛防止に役立っているのです。

背骨は33階建ての高層ビル?

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背骨の役割は、私たちの体を支え、直立の姿勢を維持しています。
そのため、いつも大きな負荷がかかっています。

背骨を横から見ると。ゆるやかにカーブして、S字状になっています。
こうした構造のため、歩く時に生じる振動の衝撃などを吸収しているのです。

超高層ビルも一見まっすぐに立っているようですが、実はゆれているのです。
のっぽの高層ビルは結果的に弯曲して地震などの衝撃を吸収しています。

背骨は首の部分の脊椎(椎骨)が7個、胸椎が12個、腰の腰椎が5個、おしりの仙椎5個と尾椎3~5個で、32~34個の骨がつながっています。※1およそ33階建ての高層ビルのように弯曲して、衝撃を吸収し、腰痛を防いでいるのです。

※1 発育過程において、仙椎および尾椎は癒合してそれぞれ1個の仙骨、1個の尾骨になるので、成人の場合は26個

酒場「バー」での腰痛対策

英国には、地域の社交場も兼ねる酒場がたくさんあり、長い歴史を持っています。
昔、炭坑労働者たちは、狭くて暗い炭坑できつい仕事を終えた後、酒場に立ち寄って1杯飲むのをたいへん楽しみにしていました。

ある酒場で、カウンターの足もとに片足をちょっと乗せられる「棒」を取り付けたところ、腰痛がとれると労働者の間で大評判になったそうです。つまり、片足を上げることで姿勢が矯正され、腰痛がとれることがわかったのです。諸説ありますが、以来、酒場を「バー」と呼ぶようになったそうですから、腰痛対策の威力はかなりのものだったのでしょう。この例にならって、長時間立って仕事をするときは、片足をときどき何かに乗せてみましょう。腰が楽になるはずです。

背骨の耐久力は450~770kg

ヒトは、2本の足で歩いたことによって知恵と腰痛を得た、と言われています。腰痛は、直立姿勢をとるヒトにとって、宿命なのですね。さて、腰痛防止のためには腹筋を鍛えることがよいと言われていますが、腹筋はどのような働きをしているのでしょうか。
たとえば、体重77kgの人が約90kgの荷物を持ち上げると、腰椎にはその10倍以上の940kgもの重みがかかるといわれます。

ところが、40歳ぐらいの方では、腰椎は約450~700kgで圧迫骨折を起こし、椎骨のクッション役である椎間板は、それ以下の重さで破裂するようなこともあるそうです。
このとき、腹筋は、収縮することによって腹や胸の中の圧力を上昇させ、腰椎や周辺のじん帯、筋肉への負荷を少なくしています。
約450~700kgで腰椎は骨折してしまいますが、腹筋を鍛えておくことで、腰椎や椎間板を保護することができます。簡単に出来る体操がありますので、お試しください。

魔女の一撃にご注意を

ドイツ語で「魔女の一撃(ヘクセンシュウス)」と呼ばれる怖い名前の病気があります。いわゆる「ぎっくり腰」のことです。
ぎっくり腰は、ある日突然、腰が「ギクッ」としたかと思うと、身動きできなくなるぐらいの激しい痛みに襲われ、体の自由が利かなくなる怖い病気です。
ぎっくり腰には何の兆候もありませんから、もしや魔女が大きなほうきを振りかざして攻撃してきたか?と疑いたくなる気持ちもわかりますね。

ぎっくり腰は、中腰で重い物を持つ場合に起こりやすいだけでなく、不用意に体をひねったり、洗顔をする際に前かがみになった時などにも起こりやすいようです。
もしぎっくり腰になったら、無理に動かさず、安静第一です。そして、専門のお医者さんの診断を受けましょう。

監修

佐々木政幸 先生 profile

  • 久我山整形外科ペインクリニック
  • 整形外科・リハビリテーション科


慶應義塾大学整形外科学教室に入局、関連病院を経て、2010年に久我山整形外科ペインクリニック開業。患者さんのつらい症状を少しでも改善させ、生活の質(Quality of Life)を出来る限り向上させるお手伝いをすることをモットーに診療している。

まとめ

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